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【読書感想】「ハーモニー / 伊藤計劃」
読み終わったわけです。

これまた骨太で しかしどこか繊細な物語を。

ひっじょーに感想を書くのが難しいが

この思いを忘れないために書くとしよう




CAM00334.jpg
 


 物語は、一言で表せば“社会システムに対する壮大な反抗期”とでもいえばいいのだろうか。

 バリバリのSF設定で語られる、近未来な社会。すべてが“管理”された世界で“人間とはなにか”を模索し、そこに“意識”を見出す一人の少女によって物語は幕を開ける。

 電子的な管理(言い方が雑だが、説明を始めるとそれだけでスクロール時間を延ばすのほどに長くなるので割愛)を人間生活の全てにおいて施され、人が“社会のリソース(資源)”という概念を基軸に生活を営む世界が舞台。そこに疑問を見出した少女ミァハは、“社会”に、強いては“世界”に奪われた存在を自身の手に取り戻すため、“死を選ぶ”という行動で世界に反抗を開始する。

 “当たり前”な世界に異を呈し、同じように世界に疑問を持っていた少女トァンとキアンがミァハに賛同し物語の主要人物は出そろう。

 実際に死を体現できたのはミァハのみで、トァンとキアンは生き残ってしまうものの、各々が生活を送っていたその時、キアンの突発的な自殺から、この物語は大きく転がり始める。

 体内にいれたWatchMe(ナノマシン的なもの。体内にインストールされる生体ソフトウェアと言えば少しは伝わるだろうか)によって、世界各地で自殺が発生し、世界は混沌へと突き進む。

 自殺をさせる ということを引き起こした犯行グループによる“宣言”によって世界は破滅へと向かったのだった。

「自分が行きたければ誰かを殺せ。さもなくばあなたが自殺することになる」

 要するに、生き残りたいなら誰かを殺してでも生きる という自己に対する“意識”を見せろというものだった。その中、事件を捜査する側にいたトァンは捜査を進めるうちに死んだはずの同級生、ミァハに近づいていき―――

 
 とまぁ、語り出したら凄絶なまでに長くなるのであらすじチックな話はこの辺にして。

 この作品を読んでいく中で、頭に残るのは“意識”と“調停(ハーモニクス)”、“人間という生き方”である。特に、意識について話が込み入るところが、実に面白い。人々に自殺させるプログラムも、具体例を上げられるのは“事象の優先度”というごく簡単な話だ。ようするに、人の欲求の一番上に“死にたい”と思わせれば、人はおのずから死ぬというドライな考え方。目の前の報酬が優先されるということも、それにまつわる時系列を横軸にしたグラフもなるほど、という具合。

 この作品の怖いところは、未来的な設定で技術等なんざ到底現代じゃおよばないながら、すでに作中で登場する“思考”は今リアルの世界に存在し、ミームという形で継承されていくであろう思考である点である。すなわち、技術はかけ離れていながらも、世界観的なものは今とそん色ないのだ。これほど怖いことはない。

 一体 “人間”という者に対して “世界”という物に対して どこまでドライでクールな見方をすればこんなことを思いつくのか。

 実は、ハーモニーの考え方は私個人で言えば見覚えのあるものだった。それは、前作の解説の中で伊藤計劃自身が影響を受けた作品群の中でもあげていた、士郎正宗作品のアップルシードである。

 アップルシードでは、“人間”と“アンドロイド”という二つの“人”が存在しこのアンドロイドがまさに今作におけるハーモニクスを体現したものであるからだ。(ただし、厳密にいえばアップルシード内のアンドロイドは“意識”の有無に関して最終的なところは言及できていない。これは後で述べる)
 
 人間の生命活動において“選択”という行動を“簡略化”という名のもとに取り除いたとき、そこに“意識”が必要になるのか。どこまで合理的で、システマティックに行動する先にあるものはなにか。そこには“意識”など存在せず、いわば“機械のような生活”という陳腐な形容に落ち着いてしまうことになる。これを稚拙にいえば「それじゃあ機械と変わらない」ということになってしまうのだが、この合理化(今作では調停=ハーモニクス)こそがフロンティアを構築する要素であり、世界から争いや理不尽が消えさるのだから、天国とはまったくもって皮肉をこめた言い方になる。

 人に“優しい”社会とはよく言ったものである。というがこの作品を読んで痛烈に感じるところだ。

 そして、前作に引き続き感じるのはやはりラストの終焉である。前作もさることながら、今作もラストはカタストロフィなのだから、なんとも絶望感に打ちひしがれる終わりである。

 ちょっと気になるのは、前作との関連性だ。一文だけだが、“虐殺の器官”という文章が登場したり、<メイルストロム>の虐殺が、どう考えても前作の“虐殺器官”のエピローグでクラヴィスが巻き起こした虐殺に感じたりする点である。思わずにやっとしてしまうこと請負だ。



 とまぁ、長々と書いてきたが 正直、感動の1万分の1も書けていない。それくらいに今作も十二分にボリューミィで面白かった。

 相変わらずのバリバリSF世界なのに、人間の内部に文字通りに鋭くメスを突き立てて中身をえぐりだすかのような内容。

 さすが、世に名を知らしめた伊藤計劃でござんした。


 以上


P.S.  アップルシードの話の折に少しふれたが、はたしてハーモニクスされた人間には感情がありこそすれそこには“恋愛感情”も入るのだろうか。恋愛という行動、生殖活動というものもハーモニクスによってかくあるが如く、意識の無いなかで行われるのだとすれば、そこに“選択”がないのなら、一体どのように相手を選び子孫を残すというのだろう。

 これは、アップルシード内で “アンドロイドにも愛ってあるのかな”というセリフを読んでる時にふと感じたのでした。

 
小説 | 【2013-05-10(Fri) 11:24:09】
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